猿田彦珈琲について

プロダクト

店舗メニュー

コラム

採用情報

店舗を探す

オンラインストア

ゲイシャとは|世界を魅了した特別な品種

豆知識

2026.05.13

スペシャルティコーヒーの時代になって、特に注目されるようになった品種があります。

その名は“ゲイシャ”


今回はそのゲイシャ品種がどのように有名になってきたか、ということを解説しようと思います。


【目次】

  • ゲイシャのルーツ:エチオピア野生原生種
  • ゲイシャの弱点
  • ゲイシャの再発見
  • ゲイシャの風味
  • ゲイシャの今
  • まとめ


ゲイシャのルーツ:エチオピア野生原生種

ゲイシャは栽培品種として扱われますが、ルーツはエチオピア野生原生種にあります。

1930年代にエチオピアのゲシャという地域で見つかり、1960年代に中米の研究所に持ち込まれていたことが分かっています。


この品種が見いだされたのは、「コーヒー葉さび病(通称さび病)」の対策品種としてでした。

この病気はコーヒーの天敵のひとつともいえる重大な病気で、菌類によって広がります。

発症すると葉がすべて枯れて落ちてしまい、やがて木そのものも枯れてしまいます。


イエメンに由来する一般的な栽培品種はさび病に耐性を持ちません。

さび病の流行によってコーヒーが作れなくなった産地(1870年代、セイロン島)も実際にあり、この病気への対策の歴史が、コーヒー栽培や品種開発の歴史でもあります。


ゲイシャは特定の種類のさび病菌に耐性があるため、1960年代以降、一部の農園で保険として植えられていました。

しかしゲイシャは、メインストリームの品種にはなりませんでした。

ゲイシャの弱点

ゲイシャは栽培品種として考えたときに、生産性が非常に低いことが弱点です。
栽培種扱いをされるゲイシャですが、実際のところエチオピア野生原生種であるため、産業のための品種改良がされておらず、少量の生産しかできない品種です。


1900年代のコーヒーはたくさん作ることが重要なビジネスだったため、生産性の低い品種は人気がなかったのが実情です。

局所的なさび病の発生はたびたびあったようなので、そうした産地の一部で保険として植えられる程度にとどまっていました。

ゲイシャ品種は枝あたりの実付きが少なく、生産量が少ない。

ゲイシャの再発見

一部の畑でひっそりと植えられていたゲイシャ。

2004年、パナマのハシエンダ・ラ・エスメラルダ(通称:エスメラルダ農園)のゲイシャが注目されたことによって、その潮目が変わります。
※エスメラルダ農園について、詳しくはこちら


エスメラルダ農園がベスト・オブ・パナマというコーヒー品評会に出品するために、農園を区画分けしてロットを作ったのがきっかけです。

エスメラルダ農園のハラミージョ区画のロットからコーヒーとは思えない独特の風味が感じられたそうで、調べたところその区画にゲイシャが植えられていたことがわかり、ベスト・オブ・パナマに出品するとこれが大好評。

ダントツのスコアで優勝し、オークションでは当時の最高価格で落札されるという衝撃的なデビューを果たします。


2004年からしばらくの間、ベスト・オブ・パナマではエスメラルダ農園のゲイシャ品種が続けて優勝し、最高値更新を続け、コーヒー業界で瞬く間に有名になっていきます。


ここで面白かったのは、ゲイシャを植えていたのがエスメラルダ農園だけではなかったということ。


エスメラルダ農園の躍進を契機に、パナマのコーヒー農園ではゲイシャのロットを分けて作るようになり、またゲイシャの栽培区画を拡大するなど、ゲイシャにフォーカスした取り組みが進みました。

パナマのゲイシャを栽培する農園の中には、プライベートオークション(農園単体のオークション)を開催するほど人気の農園もいくつかあるほどです。


現在ではパナマ=ゲイシャという共通認識ができあがっていますし、パナマ以外の多くのコーヒー生産国でもゲイシャが栽培されています。

ゲイシャの風味

ゲイシャの特徴は、何をおいてもその風味にあります。

ジャスミンを思わせる花の香り、レモンやベルガモットを思わせるシトラス系の香り、紅茶のような印象やスパイスの風味が特徴です。

エチオピア野生原生種にルーツがあるので、確かにエチオピアのコーヒーに近い印象がありますが、エチオピアのコーヒーでもこれほど鮮明に風味が感じられるものはあまりありません。


まったくの偶然ですが、エチオピアのコーヒーが自生する場所の気候と、パナマのコーヒー産地の気候がよく似ていて、相性が良かったことも一因だと考えられます。

コーヒーは日陰樹で、火山性土壌かつ雲霧林の気候の土地に自生します。パナマのコーヒー産地も基本的に火山性土壌で、エスメラルダ農園のある地域は日陰でコーヒーを作るのが一般的でしたし、雲霧林の気候の農園も多くあります。

様々な偶然が重なって、ゲイシャのコーヒーはスペシャルティコーヒーにおいて独自の地位を築いています。

ゲイシャ品種の白い花。ジャスミンを思わせる華やかな香りのルーツともいわれる。


ゲイシャの今

現在のスペシャルティコーヒーにおいて、ゲイシャはやはり特別なコーヒーです。


しかし風味の素晴らしさとその希少性から、どうしても一般的なコーヒーの価格からはみ出した設定になってしまうことは否めません。


その代わり、この品種ならではの素晴らしい味覚体験ができるコーヒーですので、ぜひ一度お試しいただきたいです。

パナマ産ゲイシャのコーヒー。紅茶や柑橘を思わせる華やかな風味が特徴。


<現在販売中のゲイシャ品種コーヒーはこちら>

まとめ

風味そのものの魅力に、偶然の再発見という物語性も加わったことで、コーヒーの世界でゲイシャは特別な存在になったといえます。


さらに現代では様々なプロセスの技術も加わったことで、パナマのゲイシャの中でも農園違いでの味の違い、プロセスによる味の違いを楽しむことができます。


猿田彦珈琲でも素晴らしい風味のゲイシャのコーヒーを販売していますので、ぜひゲイシャの物語を感じながら、楽しんでいただければと思います。



Text:村澤 智之(猿田彦珈琲)



SARUTAHIKO COFFEE inc.

オンラインストア