コーヒーのフレーバーの読み解き方
豆知識
2026.05.07

コーヒー、特に猿田彦珈琲の浅煎りシングルオリジンのコーヒーでは、様々な風味の表現でコーヒーをご紹介しています。
今日はその、コーヒーの風味の読み解き方についてお話してみたいと思います。
【目次】
- 前提:おいしいコーヒーであること
- コーヒーの風味を作るもの:品種
1. エチオピア野生原生種
2. イエメン原種
3. ゲイシャ
4. パカマラに代表される大粒品種
5. SL品種 - コーヒーの風味を作るもの:プロセス
- コーヒーの風味:品種の傾向 × プロセスの傾向
- まとめ
前提:おいしいコーヒーであること
どんなに素晴らしい風味の品種であったとしても、どんなに凝ったプロセスをしていても、生豆作りの品質管理そのものがうまくいっていないと、おいしいコーヒーにはなりません。
また、どんなに素晴らしい生豆であったとしても、焙煎がうまくいっていないとおいしいコーヒーにはなりませんし、どんなに素晴らしい焙煎豆であったとしても、抽出がうまくいっていないとおいしいコーヒーにはなりません。
ですので、猿田彦珈琲直営店各店で提供するコーヒーは必ず焙煎後の品質チェックがされていますし、
店舗のバリスタは品質チェックができる者が責任をもってコーヒーを抽出しています。
おいしいコーヒーを飲んでいて、「この味はどこから来たんだろう?」というときに、ぜひこの記事を参考にしてみてください。
コーヒーの風味を作るもの:品種
コーヒーの風味の骨格を形作るのは、品種の特性です。
スペシャルティコーヒーで流通しているコーヒーの品種は30種類くらいあるのですが、大まかには下記の5種類が特に特徴的な風味のするものです。
1. エチオピア野生原生種

エチオピアのコーヒーは基本的にはこれです。
植物としてのコーヒーノキの故郷であるエチオピアでは、コーヒーが山地に自生しており、これをもとにコーヒーの畑を作る生産者がほとんどです。
70年代の研究によって番号が振られていたり、現地での特別な呼び名があるものもありますが、エチオピアのコーヒー=野生原生種と覚えておくのがおすすめです。
風味の傾向:花、シトラス、紅茶、ベリー
2. イエメン原種

アラビカ栽培種はイエメンから伝播した歴史があります。
現在のコーヒー産地で栽培されているコーヒーの品種は、イエメンに由来するものがほとんどで、イエメンではその原種が今でも栽培されています。
さらに近年の研究では、その中にイエメン独自のコーヒーの品種群があることがわかり、「イエメニア」と名づけられています。
風味の傾向:お香の香り、シングルオリジンチョコレート、ブラウンシュガー
3. ゲイシャ

京都の芸者さんとは一切関係ありません。
栽培種として扱われますが、ゲイシャはエチオピアの野生原生種に由来する品種です。
1960年代からパナマの畑に植えられていたものがスペシャルティコーヒーの時代(2004年)になって見いだされ、有名になりました。
野生原生種のため生産性が低く、生産量が少なく、その人気と相まって高価格帯で販売されることがとても多い品種です。
風味の傾向:ジャスミン、レモン、紅茶、スパイス
4. パカマラに代表される大粒品種

パカマラは中米の産地で主に栽培される、エルサルバドル生まれの品種です。
一般的な栽培品種の3倍はある大粒のコーヒー豆が作られ、畑の気候によって独特の風味のコーヒーが作られる場合があります。
風味の傾向:スカッと明るいシトラス系の爽やかさ
5. SL品種
SL品種はケニアで主に栽培されています。
ケニアのコーヒー研究所で選抜育種された栽培種で、ケニアの魅力を支えています。
風味の傾向:ブラックベリー、赤ワイン
コーヒーの風味を作るもの:プロセス
生産処理の記事で解説したように、同じ品種でも生産処理によってコーヒーの風味が変化します。
- ウォッシュトプロセス
… すっきりしたフルーティーな風味 - ナチュラルプロセス
… しっかりめのフルーティーな風味、お酒のような風味 - ハニープロセス
… 上記2種の中間的な風味 - アナエロビックプロセス
… 濃厚なフルーティーさ、洋酒のような風味
コーヒーの風味:品種の傾向 × プロセスの傾向
コーヒーの風味は、ここまで説明した品種による風味の傾向と、プロセスの風味の傾向の掛け算によって作られる、と認識していただけるといいと思います。
猿田彦珈琲のシングルオリジンコーヒーの商品名は「①生産国/②農園・区画や生産者、処理場名 ③品種 ④プロセス」という形でご紹介しています。

例)パナマ/Elida Vuelta Geisha Washed
…①パナマ ②エリダ農園ヴエルタ区画 ③ゲイシャ品種 ④ウォッシュトプロセス
オンラインショップのページに載っているコーヒーのロット情報(農園、品種や生産処理の情報や私たちの風味の表現)を片手にコーヒーを味わってみていただけると、少しずつコーヒーの情報を見ただけで味の想像がつくようになってくるのではないでしょうか。
- 例1)
ゲイシャ品種 × ウォッシュトプロセス … 花やレモン、紅茶のようなフレーバーが感じられそう - 例2)
イエメニア品種 × ナチュラルプロセス … お香の香りや洋酒のようなフレーバーが感じられそう - 例3)
エチオピア在来種 × アナエロビックプロセス … 完熟フルーツやワイン、フルーツティーのようなフレーバーが感じられそう
など。
まとめ
実際どうなっているかということの方がもっと面白いので、「次はこんな感じのものが飲んでみたい」「この農園の違う品種のロットを飲んでみたい」「この品種のプロセス違いを飲んでみたい」というように、品種やプロセスの情報をコーヒーを選ぶときの目安にしていただくのがおすすめです。
これからも店頭で皆様に楽しんでいただけるコーヒーをご紹介してまいりますので、ぜひ私たちと一緒にコーヒーの風味の世界の旅を楽しんでみていただきたいです。
Text:村澤 智之(猿田彦珈琲)



