はじめてのコーヒー、覚えていますか?【わたしの一杯、むかしの一杯】
楽しみ方
2026.10.14

はじめて飲んだコーヒーの味、覚えていますか?
10月1日は「コーヒーの日」です。
コーヒーの新しい年度がはじまる日で、日本ではこれからコーヒーが美味しくなる季節でもあることから、この日に定められました。
今年のコーヒーの日に向けて、『あなたが選ぶ、お気に入りブレンドは?』というアンケートで、その一杯にまつわる思い出もお聞きしたところ、1,000名を超える方から回答が届きました。
本当にありがとうございます。

ひとつの思い出にいくつものお話が書かれていることもあるので目安の順位です
1位は「香りと味の記憶」、2位は「はじめての一杯・出会い」、3位は「ほっとするひととき」でした。
猿田彦珈琲は「たった一杯で幸せになるコーヒー屋」をコンセプトに掲げています。
今回いただいたエピソードのなかから、みなさんにとっての一杯がいくつも見えてきました。
多くの人に長く親しまれてきたコーヒー。
昔の人たちは、どんな場面でコーヒーを飲んできたのでしょう。
節目の日を機に、みなさんの声から見えてきた一杯の価値を、昔のコーヒーのお話とあわせて、テーマごとに全5回でご紹介していきます。
【目次】
- 初回のテーマは「はじめての一杯・出会い」
- コーヒーのはじまりのお話
- はじめて日本人が書き残したコーヒーの感想
- おわりに
初回のテーマは「はじめての一杯・出会い」
いただいた思い出を、出てくる言葉をもとに項目に分けて数えてみました。

初回は、第2位の「はじめての一杯・出会い」です。
「はじめて」や「出会い」にまつわる思い出を書いてくださった方は、150名ほど。
なかには、「もともとコーヒーが苦手だった」「酸味や苦みが苦手だった」という声もありました。
「元々コーヒーは苦手で、飲む時は砂糖とミルクを入れないと飲めませんでした。
でも、猿田彦さんでフレンチブレンドを飲んだ時、初めてブラックで珈琲が美味しいと思えました。今でも、私の中ではブラックで飲める数少ない珈琲です。」
(匿名さん/猿田彦フレンチを選んだ60代の方)
こういうお話をいただけるのは、コーヒー屋としてとても嬉しいです。
「好きな人に初めて連れて行ってもらった猿田彦珈琲で好きな人におすすめされたのが大吉ブレンドでした。縁起のよい名前の珈琲を好きな人がおすすめしてくれた。それだけでも心踊ったのに、飲んだら更に心踊る美味しさで会話も弾み幸せなひとときを過ごせました。」
(姫睡蓮さん/大吉ブレンドを選んだ30代の方)
大切な方とのひととき、読みながらあたたかくなります。
実は同じアンケートに、スタッフも答えてくれていました。
そのなかには、意外にもコーヒーが苦手だった人がいました。
「元々コーヒーが苦手、いや嫌いだった私の概念を変えてくれたのが猿田彦珈琲のカフェラテでした。
香りと風味に圧倒され、その一杯をきっかけにコーヒーが好きになりました。
(中略)
自分も一員としてあの感動の一杯を広めたい、もっとコーヒーを知りたいと思い、今に至ります。」(TOKYO 'til Infinityを選んだスタッフ)

スタッフが選んでくれたTOKYO 'til Infinityは、お店のカフェラテに使っているブレンドです。
苦手だった人が、いまは届ける側に。誇らしく心強いです。
ほんの一部しかご紹介できていませんが、多くの人の印象に残る「はじめて」の一杯。
昔の人の「はじめて」は、どのような出会いだったのでしょうか。
コーヒーのはじまりのお話
コーヒーの木は、アフリカのエチオピアが原産とされています。
はじまりにはいくつものお話が伝わっていますが、飲み物としての記録が残っているものでは、15世紀のイエメンが古いとされています。
飲んでいたのは、スーフィーと呼ばれるイスラム教の修行者たち。
夜通し祈りを続けるあいだ、眠らずにいるための飲み物でした。
この頃の一杯は、美味しさよりも「目を覚ましていられること」のために飲まれていたようです。

コーヒーの赤い実(コーヒーチェリー)。この実の種が、コーヒー豆になります。
「赤い実を食べたヤギが跳ねまわるのを見て、ヤギ飼いのカルディが見つけた」というお話を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
1671年にローマで出版された本に登場して以来、世界中で親しまれてきたお話です。
こうしたお話が語り継がれているのも、コーヒーが長く愛されてきたからこそなのかもしれません。
はじめて日本人が書き残したコーヒーの感想
日本ではいつ頃コーヒーが飲まれるようになったのでしょう?
いつ、誰が最初にコーヒーを飲んだのかは、はっきりしていません。江戸時代、長崎の出島にあったオランダ商館を通じて伝わったと考えられています。
よく知られているのが、大田南畝(おおた なんぽ)の一行です。
幕府の役人で、狂歌の名人としても知られた南畝は、1804年、長崎奉行所に勤めていたときにオランダの船でコーヒーを口にし、随筆にこう書き残しました。
「焦げくさくして味ふるに堪えず」
(焦げたような匂いで、とても味わえない。)
※日本人が書き残したコーヒーの感想として最も古い一行といわれています。
砂糖とミルクが欠かせなかった方が、ブラックを美味しいと思えたように。
南畝もその後、美味しいと思える一杯に出会えていたら、どんな一文を書き残したのでしょう。
おわりに
はじめての一杯が苦手な味だった、というのは、昔も今もあることかもしれません。
スタッフのアンケートには、そのブレンドが好きな理由をこう書いた人もいました。
「そのコーヒーを美味しく淹れるために何度も練習をしたから」
(猿田彦フレンチを選んだスタッフ)

猿田彦珈琲のバリスタは、ドリップコーヒーを淹れるときに「甘さ」「質感の滑らかさ」「後味の心地よさ」を大切にしています。
毎日飲み続けられる味わいを目指し、お店ごとの環境や器具に合わせて抽出レシピを見直し続けています。
その積み重ねが、コーヒーが苦手だった方の「はじめておいしいと思えた一杯」にも繋がっていたのだとしたら、とても励みになります。
砂糖とミルクがいらなくなった日、好きな人にすすめられた日、コーヒーを好きになった日。
みなさんの声から見えてきた一杯の価値、そのひとつめ。
ある一杯が、わたしの一杯になる
次回は第3位の「ほっとするひととき」。
眠気を払うために飲まれていたコーヒーで、どうして人はほっとするのでしょう。
text:奥村一誠(猿田彦珈琲)




